物品寄付プログラムに参加・導入しただけでは寄付は増えません。物品寄付は多数の小口寄付になることが多いので、広く多くの市民に呼び掛ける広報活動が特に重要になります。物品寄付に効く広報のポイントをまとめてみました。
ネーミングを工夫する
物品寄付に取り組んでいるNPOは多いため、物品寄付プログラムに団体独自の名称を付けて他団体との違いを出しているNPOがあります。ブックオフの「キモチと。」、バリューブックスの「チャリボン」に参加している団体から独自の名称を付けている団体(代表的なもの)をご紹介します。独自の名称は、会員やボランティアをはじめ広く市民によびかけ公募で決めるのもよいかもしれません。公募企画はメディアとも相性の良い企画になります。
キモチと。
ステナイ生活(シャプラニール)、BOOK MAGIC(ジェン)、せかワクぶっく(世界の子どもにワクチンを 日本委員会) など
チャリボン
ホンデリング(全国被害者支援ネットワーク)、ブックフォースマイル(ブリッジフォースマイル)、ほんのかけはし(かものはしプロジェクト)、Book to the Future~ホントノミライ~(侍学園スクオーラ・今人) など
ウェブサイト(ページ)を作成する
トップページやサイドメニューにバナーを張っただけの団体も見かけますが、団体ウェブサイトに物品寄付のページをつくりましょう。バナーは広告です。CMを見たくてテレビは見ません。広告を読むために新聞や雑誌を買う人はいません。同様にバナーを見たくてウェブサイトに訪問する人はいません。記事として伝えましょう。
ウェブサイトには少なくとも「集めている物品」「寄付の仕方(お問い合わせ先)」「支援内容(寄付がどのような活動に役立つか)」を記載します。
参考に、私が所属していた国際協力NGOシャプラニールのウェブサイトをご紹介します。デザインは私がかかわった当時から変わっていますが、構成や記載している内容の大きな変化はありません。品目ごとにページを分けていました。
インターネット広告を活用する
「Google AdGrants」を活用してインターネット広告を出稿することもできます。インターネット広告を出稿し、効果を高めるためにはウェブサイト(ページ)が無ければいけません。私が物品寄付のウェブサイトの企画にかかわった際、寄付物品の品目ごとにページを分けたのは、インターネット広告の活用が前提にあったからです。品目ごとに分かれていると、キーワードの設定や広告文の設定がより丁寧に細かくできるようになります。「品目名+寄付」(たとえば、「はがき 寄付」)のキーワードでももちろん出稿するのですが、物品寄付はその物品が寄付になることを知らない人にこそ伝えたいプログラムです。「買取」「引き取り」「処分」「換金」などのキーワードでも出稿しておくといいと思います。
キャンペーン化する
物品寄付は通年で取り組めるプログラムですが、品目毎に期間を決めて集中的に広報するのが効果的です。私はこれを「キャンペーン化」と呼んでいます。キャンペーンはいつ実施するのかが、特に重要になります。記念日や季節の出来事、時流にあったキャンペーンができれば、メディア掲載も増え、多くの市民に参加してもらえるようになります。以下が想定されるキャンペーンと時期です。発想次第でいろいろな時期にキャンペーンが実施できます。団体オリジナルのキャンペーンを考えてみてください。
12月~2月 年賀状 【品目】はがき、切手(お年玉年賀はがきの景品)
2月~3月 卒業 【品目】本(特に参考書や辞書)など
4月~5月 新生活・引っ越し 【品目】本、CD、DVD、家電、図書券(おすそわけ)など
5月30日 「ごみゼロの日」 【品目】本など
6月 環境月間 【品目】本など
6月 結婚式シーズン 【品目】貴金属、ジュエリー、家電など
7月~8月 夏休み(旅行) 【品目】本(特に小説、旅行ガイドブック)、外国切手など
9月~11月 読書の秋 【品目】本、DVD、ゲームソフトなど
10月 結婚式シーズン 【品目】貴金属、ジュエリー、家電など
11月22日 「いい夫婦の日」 【品目】貴金属、ジュエリーなど
12月 大掃除 【品目】本、CD、DVD、ゲームソフトなど
プレスリリースを配信する
キャンペーンを実施するなら、ぜひプレスリリースを配信してください。キャンペーンの情報をA4一枚でコンパクトにまとめればプレスリリースになります。キャンペーン開始1か月前、できれば1.5か月前には準備しておきたいです。プレスリリースにはお作法やコツがありますので、関連記事を合わせてご覧ください。
物品寄付は個人だけでなく、企業の社会貢献として提案できるプログラムにもなります。その時のキーワードは「社員参加の社会貢献」「継続こそチカラ」「(「寄付をください」ではなくて)寄付を一緒に集めましょう」です。NPOが持つ想像力と行動力で物品寄付プログラムにチャレンジしてみてください。