ファンドレイジングに最適な写真を選択すると、寄付者が活動を理解して記憶することにつながります。写真は、言葉ではできない方法で物語を伝えることができる強力なツールです。とは言うものの、NPOは、写真の重要性は理解しつつも、資金やネットワークがなく、なかなかプロのフォトグラファーにお願いできないのが現状ではないでしょうか。一人で何役もこなさなければならないNPOの広報担当者に、伝えておきたい写真の撮り方を書いてみます。
人を撮り、人の良さを写す
どんな活動をしていても、必ず人が関わっています。NPOは困難な状況にある人々を支援しています。困難な状況だけを切り取るのではなく、団体が支援した後をイメージさせるような表情の写真も撮りましょう。当事者の表情を撮ることが難しい活動もありますので、現場のワーカーやボランティア・スタッフなど支援する側の写真でもいいと思います。人が写っている写真を引き立たせることで、団体や活動へより多くの注目を集めることになります。
迫力のある写真を撮る(被写体の目線に合わせて撮る)
イベントであれば、参加者の目線、講演者の目線を意識して撮影すると臨場感のある写真になります。活動の現場では、表情豊かな顔、カメラと目を合わせている人、ジェスチャーや行動が伝わる瞬間を撮影します。また、目線の先に空白を作ると気持ちいい写真になりますし、恥ずかしがらずに思い切って寄った方が、素人さがなくなります。
説明的な写真を撮る(全体を撮る)
一方で、全体を収めようとして、引いたり、上から撮影したりすると、状況を説明する写真になります。
どちらが良いということではありません。スマートフォンやデジタルカメラでどちらの写真も撮っておくことをおすすめします。ウェブサイトやプレゼンテーションで臨場感をもって活動を伝えたいときは、前者の写真を使いたいですし、助成金やアニュアルレポートなどの報告書の類であれば、後者の写真が向いているかもしれません。
カメラの最高画質で撮る
鮮明で、ピントが合っており、明るい色の写真は、寄付者へのアピール度と団体への信頼を高めます。ぼやけた写真や粒子の粗い写真は、団体の信頼性を下げる恐れがあります。可能な限りカメラの最高画質に設定して撮影してください。
光に注意する
できるだけフラッシュを使わず、自然光のもとで写真を撮ります。フラッシュなしで撮影した写真はより自然に見えます。写真を撮るのに最適な時間帯は、早朝と穏やかな日光がある夕方です。屋外で撮影する場合は、被写体を日陰に移動してもいいと思います。被写体が、目を細めるほどの日光があたっていないか確認してから撮影してください。屋内で撮影する場合は、自然光が入る窓やドアに注意してください。
背景を気にかける
魅力的な写真は、キャプションなしでも理解できる写真です。それがどこで撮影されたのかを示す写真は、背景が単純な写真よりも寄付者に伝えることができます。被写体の後ろの棚に置かれているモノ、被写体の周りにいる人や着ている服の種類などにも注意を払ってください。背景を注意することで、困難な状況にある人の生活の変化を伝えることができる場合があります。
写真はウェブサイトやパンフレット、チラシなど広報活動を魅力的にしてくれます。写真には、感情、希望、変化の物語を伝える力があります。物語は寄付という行動を促します。常日頃から写真を撮る習慣を身に付け、写真をファンドレイジングや広報活動において不可欠な要素にしてください。