データベースを導入しているNPOも増えていると思います。しかし、名簿管理としてしか活用できていないNPOも多いと思います。データベースに保存されている単純なデータは分析とは言えません。寄付者分析のポイントは、支援者の寄付習慣をデータから導き出し、支援者とのコミュニケーションに活かすことにあります。寄付者分析で、最初に取り組みたいことを考えていきます。
確認したい寄付者データ
NPOの寄付者分析では、支援者ごとにデータを抽出する必要があります。セールスフォースなどのCRM(支援者管理システム)を導入していれば、比較的簡単に抽出することができます。まずは以下のデータを活用してみてください。
過去の寄付額や回数
支援者一人ひとりの過去の寄付額や回数を抽出してみてください。平均寄付額や寄付額の増減傾向を確認します。今後、寄付を依頼する際の寄付額の目安を知ることができます。また、計画や目標の見込みを立てる上でも参考になります。
寄付の頻度
支援者一人ひとりの寄付の頻度を把握しておくと、今後の寄付依頼の機会を特定するのに役立ちます。支援者が年間を通じて散発的に寄付を行っている場合は、会員やマンスリーサポーターといった継続的な支援プログラムへの参加を依頼するタイミングになります。支援者が年末に寄付を行う傾向がわかっていれば、年末キャンペーンのみのメッセージをその支援者に届けることができます。
寄付の最新状況
通常は年に複数回寄付している支援者が、今年はまったく寄付していない場合、寄付が途絶えてしまうかもしれません。寄付が1年以上途絶えている場合は、再び寄付をしてもらえるよう働きかけることができます。逆に、つい最近寄付をしたばかりの支援者に寄付の依頼をすると配慮に欠けると思われる可能性があります。
蓄積しておきたいデータ
支援者がNPOに関わる機会は、寄付だけではありません。しばらく寄付をしていないからといって、支援者がNPOへの関心を失い、NPOに貢献していないということではありません。寄付に関するデータ以外にも幅広いデータを収集・蓄積させていきましょう。
イベントへの参加
イベントに参加する支援者は、NPOへの関心が高く、理解度も高い支援者です。そのため、NPOは、個々の支援者がイベントに参加しているかどうか、またどのようなイベントに参加しているか把握しておく必要があります。イベントへの参加を把握することで、支援者とのコミュニケーションや寄付の依頼に活かすことができます。
ボランティア活動への参加
ボランティアは時間の寄付と言えます。ボランティア活動時間を記録し、単なる参加指標ではなく、時間的な貢献として捉えて把握します。生活協同組合や企業は、組合員や従業員がボランティアとして関わっているNPO対象に助成金や寄付を拠出することもあります。ボランティアの勤務先情報も蓄積することで、支援の輪を大きくすることにもつながります。
物品の寄贈
ボランティア活動と同様に、支援者による物品の寄贈もNPOへの貢献になっています。物品や数、受領日などを把握します。
問い合わせやクレームの内容
クレームであったとしても支援者がNPOの活動に関心を持っている証拠です。活動の改善にも生かせるものです。テキスト情報として記録し、組織内部で共有し、支援者とのコミュニケーションに活かしていきましょう。
支援者がNPOと複数の形で関わっている場合は、長期的に支援を継続する可能性が高くなるだけでなく、NPOの理念の実現に向けて寄付額以上の価値があると思います。支援者一人ひとりの情報を蓄積し、コミュニケーションに活用することで、支援者一人ひとりとの関係性を構築し、良好に保つことに貢献します。そして、NPOへの関心を維持することは、支援を拡大することだけでなく、支援を減らさないことになります。