活動をはじめて間もないNPO、はじめてファンドレイジングに取り組むNPO向けに「ファンドレイジング、はじめの一歩」をまとめてみました。ポイントは「お願い」(Ask)と「感謝」(Thanks)です。この2つのポイントを押さえておけば、団体や活動に必要なさまざまなリソースを提供してくれる支援者を増やす道筋が見えてきます。
コアメンバー(運営メンバー)を集める
資金を集める前に人を集めてください。このメンバーは資金集め(ファンドレイジング)の中心メンバーという意味にとどまりません。活動や事業を推進するメンバーであり、団体に関する意思決定を行うメンバーです。法人では「理事」と呼ばれる人々ですが、任意団体でも「理事」に相当する役割は必要です。コアメンバーは支援者のネットワークを拡大する役割を担います。ファンドレイジングに関する責任をコアメンバーだけが負うわけではありませんが、今後の団体にとってコアメンバーは非常に大きな財産となります。
理念と活動計画を文章化する
コアメンバーが集まったら、定期的にミーティングを開催してください。最初の議題は、団体のビジョンやミッションの明確化・文章化です。団体は何を目指すのか、どのような社会を作りたいのか、どのようにその社会を実現するのか、社会にどのような変化をもたらしたいのか、などをディスカッションし、「私たちは、●●な社会(ビジョン)を目指して、▲▲を行うことで■■を解決(ミッション)します」という短い文章にまとめてください。ビジョンとミッションが定まったら、活動計画を作ります。活動計画には、誰が、いつ、何を、どれだけ実施するのかが書かれます。また、その活動を実施するにはいくら必要かを計算して活動予算を立てます。活動予算がファンドレイジング目標になります。
寄付以外の参加や協力の方法を用意する
NPOの立ち上げ当初の支援は、金銭的な寄付ではないことが多くあります。たとえば、時間の寄付であるボランティアや現物寄贈(物品寄贈)です。たとえば、SNSでの情報拡散の協力をしてくれる人がいます。講演や講座という方法なら参加してくれる人やイベントで使う会場費を安く、もしくは無償で貸してくれる施設があるかもしれません。寄付以外の参加や協力の方法を用意し、さまざまな可能性を探ってください。ボランティアや現物寄贈者、イベント参加者が寄付者になることはよくあります。また、関係者が増えることで団体の信頼性が向上し、将来のファンドレイジングの基盤になります。
身近な人にお願いする
最悪のファンドレイジングのひとつは、何も説明せずに単に寄付を依頼することです。理念や活動計画ができたら、それを持って家族や友人、ご近所さんなど、すぐに連絡が取れる身近な人に寄付をお願いします。コアメンバーひとりひとりがこのお願いに取り組んでください。あなたの団体の支援者候補は全くの見ず知らずの人ではなく、あなたのことをよく知っている人です。いまある人脈から始めて、徐々に広げていきます。寄付をお願いするときは、寄付が何に使われるのか、なぜ寄付をお願いしたのか、そして具体的な金額を率直かつ正直に伝えてください。
感謝や報告をする
寄付に協力してもらったら忘れずに感謝を伝えます。寄付に協力してもらえなくても、説明を聞いてもらったことや寄付を検討してもらったことに対して感謝を伝えます。ファンドレイジングにおいて最も重要なことのひとつは、寄付者との長期的な関係を築くことです。活動計画が順調でもそうでなくても寄付者には定期的に報告してください。
活動をはじめて間もないNPOには助成金はなじみません。助成金を提供する財団や企業は、実績のないNPOを対象外とすることが多いためです。助成金申請の条件として、少なくとも3年間程度の活動実績と成果を求めることがほとんどです。助成金を申請できるまでの間、お金のかからない「お願いと感謝」(Ask & Thanks)に忍耐強く取り組んでみてください。