寄付者や支援者へのお礼は、NPOにとって単なるマナーや礼儀ではありません。お礼まで実施して、ファンドレイジングの活動は完結し、このお礼から次のファンドレイジングが始まっています。今回は寄付者や支援者に対するお礼の手紙を書くポイントをお伝えしたいと思います。
ポイント1.お礼の手紙はできるだけ早く送る
お礼の手紙は、寄付者が寄付をしたことを覚えているうちに届けることが重要です。そのためにも、寄付を受け取ってから3日以内に送るようにしましょう。時間が経てば経つほど、お礼の気持ちが薄れてしまいますし、お礼を言う前に誤って寄付のお願いが届くのを避けるためでもあります。そうなると、寄付者にネガティブな印象を与えてしまい、今後の寄付キャンペーンに参加してもらえなくなる可能性があります。
ポイント2.個人名で発信する
封筒の宛名だけでなく、手紙にも寄付者個人の名前を入れることで大きな違いが生まれます。また、代表理事や理事長、事務局長などの団体のなかで責任のある立場のスタッフから送られてくると、より重みが増します。送り主も個人の名前にて、寄付者の質問・問い合わせに答えることができる連絡先を忘れずに記載しておきましょう。
ポイント3.感謝の言葉で始め、感謝の言葉でしめくくる
お礼の手紙は、団体の要望ではなく寄付者に感謝を伝えるものですので、「ありがとうございます」といった率直な感謝の言葉からはじめます。手紙の最後にも、必ず感謝の言葉を書いて、前向きな気持ちで終えるようにします。お礼の手紙は、次の寄付を依頼する機会ではありませんので、直接的なお願いはしないようにしましょう。
ポイント4.団体のミッション(使命)を伝える
寄付者は組織にではなく、ミッションに寄付をしていると言われます。手紙の中で改めて団体のミッションを伝えてください。寄付者の寄付があることでミッションの実践ができ、受益者や地域の変化になったことを伝えます。よりミッションを伝えるために、活動紹介パンレットや年次報告書などを同封して一緒に送ってもかまいません。
ポイント5.シンプルな文章で書く/写真を使う
寄付者は団体の活動に関心のある人ですが、その分野の専門家ではありません。寄付者へのお手紙は、専門用語は使わず、小学3年生でも理解できる内容で書きます。1ページに収まる程度の分量で、余白を多くとります。寄付者の数が多い場合には、あらかじめテンプレートを作成することがありますが、寄付者に合わせて変更できようにしておきましょう。お礼の手紙には写真をつけてもかまいません。本文の内容を補完・イメージさせる写真は、意外と記憶に残りやすく、お礼の気持ちをより長く持続させることができます。
ポイント6.個人的な話題に触れる
その寄付者からいくら寄付をもらったか、いつ寄付をもらったか、どのような活動に寄付をしたのか、個人的な内容を書くようにしましょう。継続して寄付をしている方には、そのことを思い出してもらえる内容を書きます。たとえば、「●●年から(●年間)寄付をしてくださり、ありがとうございます。これまでに●●円の寄付になりました。」といった書き方になります。
ポイント7.手書きメッセージを使う
お礼の手紙には手書きのメッセージを入れることも効果的です。印刷されたテンプレートの文章だけよりも、寄付者への感謝の気持ちをより伝えることができます。2回目の寄付、イベント参加後、年始のごあいさつなど、特別な寄付者や特別なタイミングで手書きでメッセージを添えてもいいでしょう。送り主の個人名(サイン)だけ手書きにするのでも構いません。
ほとんどの場合、お礼の手紙は寄付が増えるような即効性のある結果をもたらすものではありません。しかし、寄付者や支援者へのお礼は、ファンドレイジング活動の一部です。事前に計画を立て、予算を確保し、寄付を受け取ったときにすぐにお礼を言えるようにしておくことが重要です。この小さくて大きな行動が、寄付者・支援者とより深い関係を築き、長期的には寄付者を維持することにつながります。