オンライン募金システムの導入を検討しているNPOの皆さんのために、NPO向けのオンライン募金システムについてまとめておきたいと思います。
オンライン募金を実現するためには「決済代行会社」と契約するのが一般的です。「決済代行会社」はNPOとクレジットカード会社を仲介してくれる会社で、クレジットカード決済のほか、口座振替、コンビニ決済、電子マネー決済などの多様な決済サービスを提供しています。以下の2社が、NPOが利用している代表的な「決済代行会社」になります。
GMOペイメントゲートウェイ
ROBOT PAYMENT(旧:J-Payment)
決済代行会社を利用した場合、団体側でウェブサイトへのシステム組み込みや寄付申し込みフォームの設置が必要になります。ウェブサイトに詳しい担当者がいれば、決済代行会社を利用するのがいいでしょう。
今回の記事では、決済代行会社のシステムをNPO/NGO向けに募金に特化させ、寄付申し込みフォームの制作・設置まで一括(ワンストップ)になっているサービスをあつめました。それらのサービスを提供する企業・団体は、クレジットカード決済の導入サポート(コンサルティング)や他のファンドレイジング・プログラムなども提供しています。
予算や経費(手数料)だけでなく、ファンドレイジングの目標や見込み、入金のタイミング(一般的に寄付者の決済と団体への入金は異なります)、団体の技術習熟度、実現したいこと(継続寄付や決済方法の多様化)などの判断基準を明確にしたうえで検討するのがいいでしょう。
CANPAN決済サービス
日本財団が提供する決済サービスで、100団体以上の活用実績があります。クレジットカード会社の審査、画面作成、決済データの処理、寄付者管理をワンストップで提供しています。
初期費用:0円
月額基本料:ベーシックプラン・3,800円(税別)/コンビニプラン・5,500円(税別)
手数料:5~5.5% ※カードブランドにより異なる
決済方法:クレジットカード(1回払い・毎月募金)のほか、コンビニ決済(コンビニプラン)、ペイジー決済(1,700円/月・税別)
団体への入金タイミング:月末締めで翌月末に入金
技術習熟度:低くてもOK。団体のウェブサイトからCANPAN決済サービスの寄付ページにリンクするだけ。
特徴:寄付するときのフェイスブックなどのアカウント連携ログイン(ソーシャルログイン)に対応。
Congrant
リタワークス社が提供するCongrant(コングラント)は寄付募集・管理を応援するファンドレイジングツールです。任意団体でも条件を満たせばCongrantを活用できます。「フリープラン」「ライトプラン」「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」の4プランを用意。ウェブサイトの構築も手掛けている企業です。
初期費用:0円(フリープラン)~50,000円(プレミアムプラン)
月額基本料:0円(フリープラン)~10,000円(プレミアムプラン)
手数料:4.8~8% ※契約プランにより異なる
決済方法:クレジットカード(1回払い・毎月募金)、銀行振込
団体への入金タイミング:翌月20日に利用団体へ振込、お振込時に所定の決済手数料と振込手数料440円を天引き
技術習熟度:低。団体のウェブサイトからリンクを張るだけ。
特徴:すべてのプランで継続寄付が利用可能。有料プランには支援者管理機能も付属。
シン・ファンドレイジング ペイメント
株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズが提供する「シン・ファンドレイジング ペイメント」。イベントでの商品販売から、チャリティオークションの料金支払いなどに利用できるポータブル端末もオプションで用意。物品寄付プログラム「カイトリ」も展開。
初期費用:0円
月額基本料:0円 ※振込手数料(500円・税別)は必要
手数料:5~6% ※カードブランドにより異なる 認証料は50円(税別)/取引
決済方法:クレジットカード
団体への入金タイミング:月末締めで翌月20日に入金 ※繰り越しにも対応し、振込手数料を節約可能
技術習熟度:中~高。団体のウェブサイトにシステムの組み込みが必要。
特徴:継続寄付(初期費用5,000円・税別)、導入サポート、外貨決済対応、3G回線で利用できるポータブル端末貸出はオプション。
Bokinchan(ボキンチャン)
株式会社ソノリテのBokinchanは、非営利組織の募金に特化したオリジナル開発のオンライン募金システムです。ソノリテ代表の江崎さんは、長年NPOの寄付集めにかかわってきた方で、オンライン募金システムのサービス提供のほか、NPOや社会貢献事業に対する組織基盤強化のためのコンサルティングなどにも取り組んでいます。
初期費用:385,000円
月額(ソノリテ):20,000円(税別)から ※従量課金制
月額(決済代行会社):5,000円(税別)+ その他手数料
手数料:約3.6〜5% ※カードブランドにより異なる
決済方法:クレジットカード(1回払い・毎月募金)、コンビニ決済、電子マネー(SUICA・Edy)、ペイジーに対応。
団体への入金タイミング:15日締めで月末に入金
技術習熟度:中程度。
特徴:データベースとの連携、機能追加などはオプション。自由度の高い画面設計が可能。
キフフォーム
キフフォームのウェブサイトでは「インターネット寄付金決済サービス」と説明されています。ウェブサイトには費用に関する記載が一切なく、問い合わせしなければ分かりません。
初期費用:記載なし(パートナー各社により異なる)
月額基本料:記載なし(パートナー各社により異なる)
手数料:記載なし
決済方法:クレジットカード、ウェブ口座振替、ネットバンキング、コンビニ決済、携帯キャリア決済など
団体への入金タイミング:記載なし
技術習熟度:低くてもOK。システムの改修は不要、団体ウェブサイトにURLを貼付けるだけで利用可能。
特徴:英語、中国語、ロシア語、フランス語など多言語対応。寄付者向け記念品などの項目を追加することも可能。
KIFUKARA(キフカラ)
株式会社フェブが提供するKIFUKARA。ウェブサイトの説明を読む限り、クレジットカード決済に最適化されたフォームサービスになります。フォームサービスではありますが、クレジットカード決済代行会社の選定や契約に関するサポートはあります。以下の費用は、決済代行会社としてCloud Paymentを利用した場合の費用になります。
初期費用:30,000円(税別)
月額基本料:8,000円(税別)
手数料:3.6%(VISA、MasterCard)、決済処理料として5円/件
決済方法:クレジットカード
団体への入金タイミング:記載なし
技術習熟度:低くてもOK。専門知識なくても導入可能。
特徴:ウェブサイトから寄付を集めた成功事例やナレッジを共有するセミナーを定期的に開催。
KIFTY(キフティ)
KIFTYは、ウェブサイトではNPO/NGO向けのASP型寄付フォーム(チラシでは「NPO/NGO向け寄付申し込みフォーム」)と説明されています。ウェブサイトやちらしだけでは判断できませんが、寄付申し込みフォームのみの提供で決済代行会社の料金は別途必要になると考えることができます。
初期費用:0円
月額基本料:3,980円(税別)
手数料:記載なし
決済方法:クレジットカードのほか、オプションで郵便振替、銀行振込、コンビニ決済、ペイパル決済に対応
団体への入金タイミング:記載なし
技術習熟度:低くてもOK。パソコンで簡単に開設可能。
特徴:支援者向けの活動報告書(PDF)の公開機能、スマートフォンに対応。オプションで独自ドメインの利用、SalesforceなどのCRMとの連携、活動報告書の作成、運用のサポートを用意。
F-REGI寄付支払い
「F-REGI寄付支払い」は、エフレジ社が提供するオンライン寄付フォームサービスです。寄付受付画面・各種決済機能・管理機能の全ての業務がオールイン・ワンでパッケージ化された寄付総合ソリューションで、学校法人に導入実績が多そうです。
初期費用:不明
月額基本料:不明
手数料:不明
決済方法:クレジットカードのほか、銀行振込(ペイジー)、コンビニ決済に対応
団体への入金タイミング:不明
寄付金クラウド
寄付金クラウドは、さくら情報システムが提供するクラウドサービスです。さくら情報システムと同じSMBCグループのSMBCファイナンスサービス株式会社の「決済ステーション」と連携したシステムです。
初期費用:不明
月額基本料:不明
手数料:不明
決済方法:クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行振込決済、ペイジー決済、ゆうちょ振替決済、電子マネー決済、ネットバンク決済に対応
団体への入金タイミング:不明
ピーネクラブ
ピーネクラブは、コミュニティの会員管理と会費集金のためのウェブサービスです。 会費集金をクレジットカードを使って自動化できるほか、一連のユーザー対応(入会・請求・集金・督促・退会)をピーネクラブが代行しています。事例を見る限り、マンスリーサポーター(継続寄付)に対応しています。
初期費用:0円
月額基本料:0円(スタータープラン)、プロプランは9,800円
手数料:集めた会費の10%が利用料(プロプランは6%)
決済方法:クレジットカード
団体への入金タイミング:月末
特徴:会員管理(入会・請求・集金・督促・退会)の対応を代行。オプションでオンラインサロンが開設可能。
オンライン募金システムの導入によって、郵便局や銀行に行かなくても寄付ができるようになり、寄付者の利便性は間違いなく高くなります。ただ、導入しただけでは寄付は増えません。場合によっては、ファンドレイジング体制やウェブサイト全体の見直しなども必要になってくることもあります。長期的、全体的な視点をもって、オンライン募金システムの導入を検討しましょう。