先日の参加した研修で「認定特定非営利活動法人」という名称で登記ができるということを聞きました。「特定非営利活動法人」(NPO法人)というのは特定非営利活動促進法に基づく法人格で、「認定」というのは税法上の区分です。私は「認定特定非営利活動法人」(認定NPO法人)という法人格はないという認識だったので、気になったので法務局に聞いてみました。
「認定特定非営利活動法人という名称を使って登記できるか」という私の質問に対する法務局の回答は「イエス」。定款に正式名称として「認定特定非営利活動法人●●●●●●」と定められていれば登記できるとのことでした(当たり前ですが所轄庁から「認定」を受けていることが前提になります)。特定非営利活動法人の場合、名称(団体名)に特定非営利活動法人という文字を使う義務が法律に定められておらず、その団体の定款に書かれていることであれば登記が認められる、というのが法務局の回答でした。
法務局に確認するまでもなく、改めて特定非営利活動促進法を見ると「認定特定非営利活動法人」「仮認定特定非営利活動法人」という言葉が普通に出てきているので、法人格としてありのようです・・・。
特定非営利活動促進法
第三章 認定特定非営利活動法人及び仮認定特定非営利活動法人
第一節 認定特定非営利活動法人
(名称等の使用制限)
第五十条 認定特定非営利活動法人でない者は、その名称又は商号中に、認定特定非営利活動法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
2 何人も、不正の目的をもって、他の認定特定非営利活動法人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
念のため、株式会社、一般社団法人・一般財団法人、特定非営利活動法人の商号や名称の規定について、それぞれ見ておきましょう。
株式会社の場合は、
会社法
第二章 会社の商号
(商号)
第六条 会社は、その名称を商号とする。
2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
3 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
一般社団法人・一般財団法人の場合も、
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第一章 総則
第二節 法人の名称
(名称)
第五条 一般社団法人又は一般財団法人は、その種類に従い、その名称中に一般社団法人又は一般財団法人という文字を用いなければならない。
2 一般社団法人は、その名称中に、一般財団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
3 一般財団法人は、その名称中に、一般社団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
株式会社の場合は「会社法」で、一般社団法人・一般財団法人の場合は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」で、該当する法人格を商号(社名)や名称に使わなければならないと決まっています。
一方、特定非営利活動法人(NPO法人)の根拠法である特定非営利活動促進法を見ると、
特定非営利活動促進法
第二章 特定非営利活動法人
第一節 通則
(名称の使用制限)
第四条 特定非営利活動法人以外の者は、その名称中に、「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。
というように、特定非営利活動法人(NPO法人)ではない法人は「特定非営利活動法人」という名称を使っていけないという使用制限があるだけで、使用義務の規定はありません。
使用義務の規定がないということは、特定非営利活動法人という名称を使わなくてもよい、定款にさえ書かれていれば、たとえば「NPO法人●●●」「特例認定NPO●●●●」でも登記できるということになります。
しっかり法律を読んでから法務局に確認すればよかったのですが、「特定非営利活動法人という名称をあえて使う必要はない」という新たな発見があったのでした。