Eメールを使ってファンドレイジングに取り組むことは、寄付を集めるNPOにとっても、寄付をする寄付者にとっても時間や手間を減らすメリットがあります。この記事ではファンドレイジングでEメールを活かすためのコツをお伝えしたいと思います。
メールアドレスを集めるコツ
1.簡素な登録フォームにする
あらゆるタイミングで名前とメールアドレスを集めましょう。まずは、寄付者やボランティアを対象に集めてください。ウェブサイトはトップページだけでなく、フッターやアクセスの多いページ、団体概要ページなどに登録フォームへのリンクを貼り、ウェブサイト訪問者がすぐに登録できるようにしておきます。また、イベントもメールアドレスを集めるよい機会です。登録フォームは最小限の入力項目にしておきましょう。名前とメールアドレスの登録だけでよいと思います。入力項目が多ければ多いほど登録が増えません。
メールを開封してもらうコツ
2.送信者名(差出人名)に気を付ける
メールの送信者名が「info」や「no-reply」になっていませんか?メールの受信者がメールボックスで最初に目にするひとつが送信者名(差出人名)です。送信者名が「info」や「no-reply」になっていると、自動メールや一斉メールと思われてメール開封率が下がってしまいます。「人は人に寄付をする」と言われます。送信者(差出人)は、組織ではなく個人であることが伝わる設定にします。
3.件名はこだわる
メールの受信者が送信者名と同時に目にするのが件名です。件名はメール開封率を高める最も重要なポイントです。件名はメール本文と関連する内容であり、読者の興味を引くものが理想です。すべてを説明する件名ではなく、開封してもらうための件名であることを念頭に、件名が長くなりすぎないように注意してください。開封されるために件名で使われるテクニックは以下になります。
- 【不完全】件名ですべてを明かさない。会話のきっかけにする。
- 【緊急性】開封を後回しにされないように今日、明日、今週など時間的な要素を件名に付け加える。
- 【疑問形】件名で質問を投げかける。
- 【個別化】件名に個人名を入れる。
寄付につなげるコツ
4.本文は簡潔に書く
ほとんどの受信者は一字一句丁寧に読むのではなく、拾い読みしています。小見出しや箇条書きを使うことで、メールの読みやすさを保つことができます。本文には忘れずに署名を入れましょう。画像を配置したリッチなメールで配信する必要はありません。日常的に受信しているメールはプレーンなテキストだけのメールであることが多いため、デザインされたリッチなメールは逆にマーケティングメールと思われ、読み飛ばされる可能性が高まります。
5.明確に寄付のお願いをする
活動報告やイベント案内などを掲載した定期的なメルマガ配信とは別に、年に1~2通の寄付をお願いする専用のメール(ファンドレイジングメール)を送ることをおススメします。専用メールにすることで、受信者に取ってもらいたい行動、つまり寄付をすることに焦点を絞ることができます。寄付のお願いは最初の2段落以内に書いてください。そして、明確に要点を押さえて寄付をお願いしましょう。ファンドレイジングメールに必要な要点は、解決しようとしている問題、問題解決に対する団体独自の取り組み、寄付がもたらす影響の3つです。
6.寄付の方法を提案する
メールの本文のどこかに、寄付するための手段を提示しなければ、寄付をしてもらうことはできません。「今すぐ寄付をする」といった行動を喚起する言葉とともに、クレジットカード決済ページのURLを知らせるといいでしょう。また、銀行口座情報や振込用紙を請求するための連絡先もお知らせしてください。
継続した支援につなげるコツ
7.寄付完了メール(決済完了メール)を改善する
ファンドレイジングで最も重要な活動のひとつは、寄付を受け取った後の感謝です。感謝の活動は寄付完了メール(決済完了メール)から始まっています。寄付完了メールには、氏名や決済日、決済額などの必要な情報のほかに、感謝の言葉を必ず入れましょう。寄付者は、寄付をした時に団体への関心・関与が最も高まると言われます。寄付を完了した人だけが閲覧できる動画へのリンクなども効果的です。寄付者を喜ばせるために寄付完了メールを改善し、より良い寄付者体験を提供してください。メルマガ登録フォームやソーシャルメディアへのフォローを案内するのもいいと思います。
Eメールは、寄付者と連絡を取り合い、活動報告やイベント案内、ボランティア募集など最新情報を提供するコストがかからない方法です。ファンドレイジングメールを他のメールと組み合わせれば、見込みが立てられる寄付の呼びかけ方法になります。Eメール・ファンドレイジングは「過ぎたるは及ばざるがごとし」(過剰は不足と同じ。ほどほどがよい)の考え方で行うと、作業が少なくて済むだけでなく受信者にも負担をかけずに実施することができます。