郵送で寄付を呼びかけることは、デジタル化やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の時代に、古典的で時代遅れな方法のように思えるかもしれません。しかし、古典的であるということは実績があるということです。しかも、そのノウハウはE-mailでの呼びかけにも活用できます。ぜひ寄付の呼びかけ文の7つのポイントを押さえて、郵送やE-mailの呼びかけで試してみてください。
1.個人的に出す
手紙は人から人へ送るものです。差出人は、団体名でなく理事長や事務局長、職員の個人名にしてください。私的に書く手紙やメールで分量を気にする人はいないと思います。冗長な文章はよくないですが、無理に短く書く必要もありません。あなたが感じている支援活動の手ごたえや受益者と一緒に経験したことを相手に伝えてください。ただ電話番号や確実に届くメールアドレスは忘れずに書いておきましょう。
2.私的なあいさつからはじめる
手紙の冒頭では、できる限り相手を名前で呼び、あいさつや感謝の気持ちを示しましょう。個人名が書かれていない手紙は、大量生産で無個性な印象を与え、無視される可能性が高くなります。手紙を読むとき、真っ先に目が行くのは私的なあいさつ文と追伸文だそうです。追伸文は寄付以外の参加の方法を伝えるなど、上手に活用してください。
3.受益者について伝える
寄付者にとって最も関心の高い受益者について伝えてください。統計的な情報を交えて説明してもかまいませんが、受益者がどんな人で、どんな生活をしているかわかるように、受益者のケーススタディや物語を書くのが理想的です。
4.受益者をどのように変えようとしているか書く
受益者について伝えたら、受益者を取り巻く状況を変えるための使命(ミッション)や解決策を書きます。つまり、NPOが取り組んでいる活動、受益者に対する支援内容です。この説明は、寄付の使途を伝えることになります。
5.寄付がどのように受益者に貢献するか伝える
「具体的な寄付額」と「その寄付額がもたらす影響」を関連付けることで、寄付者がどのように受益者に貢献できるか伝えることができます。たとえば、「あなたの5,000円のご寄付で、困難を抱える20人の子どもたちが、栄養バランスの取れた食事でお腹いっぱいになります」といった伝え方です。受益者の変化に焦点を当てたメッセージにすることがポイントです。寄付をすることの価値を説明することにもなります。
6.行動につながる情報を提供する
寄付アピール文には、「5,000円を寄付してください」と言うように具体的で直接的な呼びかけを書き、読者に何を求めているかを明確に示します。郵便振替用紙を同封することやクレジットカード決済で寄付ができるウェブサイトを明記することが重要です。目標金額や寄付期日は、寄付者にとって「後で」ではなく「いま」寄付しなければならない理由になり、行動につながる情報になります。E-mailであれば、このような具体的な情報をメールの件名にするのもひとつの方法です。
7.感謝の気持ちを表す
手紙の冒頭では、これまでの支援をしてくれたことに対して感謝します。一方、最後でも今回も寄付を検討してくれたこと、手紙を読む時間をもらったことに対して感謝の気持ちを表してください。
寄付の呼びかけ文の目的は、寄付をしてもらうことです。寄付の呼びかけ文の成果は、寄付額や寄付者数で測ることができます。しかし、優れた寄付呼びかけ文の成果は、それだけではありません。寄付者との関係づくりの基礎を築くことにもつながります。寄付者の期待に応える寄付呼びかけ文によって、寄付者との継続的な関係を築くことができます。