寄付を募るメッセージをつくるときは、寄付者の視点に立って考えることがとにかく重要です。寄付者は寄付者の理由があるから寄付するのであって、団体の理由のために寄付するのではありません。具体的な事例とともに考えたいと思います。
「財政基盤の強化のために、寄付を集めています」
このようなメッセージは、NPOのウェブサイトやチラシでよく見ます。「財政基盤の強化」と言えば聞こえがいいのですが、簡単に言ってしまえば「お金がない」というのと同義語と私は思っています。お金がないから寄付をください、と言って寄付は集まるのでしょうか。寄付者は団体の赤字補填のために寄付するわけではありません。「財政基盤の強化」というのは、NPOが寄付を集める理由にはなっても、寄付者が寄付をする理由にはなりません。
「認定NPO法人維持のために、寄付を集めています」
「認定NPO法人維持のために寄付を集めています」というところもありました。3,000円の寄付を100名から集めるというパブリックサポートテスト(PST)に合格するために寄付が必要なことはわかります。NPOが寄付を集める理由になっていますが、寄付者が寄付をする理由にはなりません。
「(受益者)の支援のため、寄付を集めています」
支援者は、具体的にどのような支援をしているのか、その活動が問題の解決に効果的なのかを知りたがっています。そして、受益者の現状だけでなく、将来受益者にどうなってもらいたいか、受益者のあるべき姿まで伝えることが必要になります。支援することは目的ではなく手段です。あるべき姿を目指して取り組む手段に納得感があれば寄付につながります。寄付者はパーソナルなストーリーに引き込まれます。支援事例(ケーススタディ)を取り上げながら、寄付を呼びかけてみてください。
「(まち)の活性化のため、寄付を集めています」
まちづくり/地域おこしに取り組む多くの団体が「活性化」という言葉を使って、活動目的を表現しています。寄付者に対して、他団体との違いを打ち出さないと寄付は集まりません。支援者は「活性化」とはどういう状況を示すのかを知りたがっています。ありきたりな「活性化」という言葉を、より具体的な表現にすることに取り組んでみてください。
寄付者は団体の存続のために寄付をするのではなく、社会をより良くしたいとか、社会の役に立ちたいといった想いを実現するために寄付をしています。その思いに応えるためには、解決したい課題、目指している社会像や地域像を文章化しておくことがなにより大切です。