NPO向け支援者管理システムを知る

NPO向け支援者管理システムを知る

NPO向けの支援者管理システム(顧客管理システム)が次々とリリースされています。数年前まではSalesforce(セールスフォース)かMicrosoft Dynamics CRM(ダイナミクスシーアールエム)の選択肢しかなかったと記憶しているので、今はまさに群雄割拠の時代と言っていいと思います。支援者管理に活用できるシステムは以下の通りです。

顧客管理システムは英語でCustomer Relationship Managementなので、省略してCRMと呼ばれます。NPO/NGO向けの顧客管理システムはDonor(寄付者/支援者) Relationship Management、DRMと呼ばれることもあります。

Sansan for NPO(Sansan)

SansanはCRMではなく名刺管理サービスになります。顧客名簿をデータで管理できていないNPOはまずはデータ化から始めるのがいいと思います。NPO向けのプログラムがあり、月額使用料は10,000円で、名刺5,000枚まで利用(スキャナが付属)できます。NPO向けプログラムの対象法人格は、特定非営利活動法人、公益法人(公益財団法人と公益社団法人)、社会福祉法人に限られます。すでにCRMを導入済みで支援者情報の入力や活用が進んでいない団体にもいいかもしれません。

Kintone(サイボウズ)

サイボウズのNPOプログラムは、「cybozu.com」の各製品(Office、Garoon、メールワイズ、kintone)が50ユーザー、年額10,000円(税別)で使えるプログラムです。対象法人格は、特定非営利活動法人のみ。CRMとして活用できるのは、kintoneです。こちらも正確にはデータベースとは言えませんが、CRMや顧客管理として活用事例・活用実績があります。エクセルで支援者名簿を管理している団体の次のステップとしていいかもしれません。

NPOのデジタル化を考える

NPOのデジタル化を考える

2022.09.07

Salesforce(セールスフォース・ドットコム)

もはや説明不要になっているSalesforceの非営利団体への製品寄贈・割引(Power of Us)プログラム。対象法人格は、特定非営利活動法人(NPO 法人)、認定特定非営利活動法人、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、宗教法人、更生保護法人と幅広い非営利団体で活用できます。Salesforce活用団体による勉強会やユーザ会、セールスフォース・ドットコム社員によるプロボノ支援プログラムなどもITスキルに不安があるNPO/NGOにとってはうれしいサポートだと思います。エニシフルコンサルティング社が支援者管理に特化した「GOEN DRM」を開発・提供しています。

Dynamics CRM(マイクロソフト)

Salesforceと同様に、マイクロソフトのDynamics CRMも非営利団体向けCRMを提供しています。対象団体は、ウェブサイトのマイクロソフト非営利プログラム利用資格を確認してください。クラウド型は、月額 1,630 円/ユーザで利用できます。クラウド型だけでなく、オンプレミス型(自社サーバ設置型)も選択できるのが特徴です。オンプレミス型はTechSoupのウェブサイトから申し込みできます。

NPO向けCRM導入のポイント

ひとつのデータベースで管理することで、ドナーピラミッドのような組織横断的な分析ができるようになり、ファンドレイジングに活用できるようになります。リストの整理や統合をやらずにデータベースを作成すると、結局複数のリストが存在することになり、データベースという管理の手間のかかるリストができただけで終わってしまいます。

ドナーピラミッドを考える

ドナーピラミッドを考える

2016.09.09

「NPO向け」と言っても、価格がNPO向けなのか、機能がNPO向けなのか、ソフトウェアやプログラムによってその意味は異なります。NPO向けの機能は、CRM導入支援企業が技術だけではなくNPOの業務内容に詳しくないと開発が難しいものです。たとえば「領収書の発行」は、どのCRMでも対応している標準的な機能ですが、NPOの場合、都度発行だけでなく、確定申告の時期に1月から12月の寄付を一葉にまとめて発行すること(マンスリーサポーター制度がある団体によく見られます)もあります。認定NPO法人とNPO法人では領収書の管理項目も異なってくるはずです。会員期限の管理についても、いつ入会してもその年度の会費として受け取る年度ごとの管理、入会月による管理、入会日による管理のように団体によって異なります。

CRMは、NPOにとって基幹システムとも呼べる重要な仕組みです。導入・開発に当たっては財源・時間などのコストを負担しなければなりませんし、導入後に入れ替えることも簡単ではありません。価格やウェブサイトの情報だけで判断するのではなく、セミナーに参加する、個別に話を聞く、デモ画面で確認するなどして、「CRMの機能」と「CRM導入支援企業のNPO業務に関する理解度」も合わせて慎重に判断するのがいいと思います。