NPOにとって重要な「ビジョン」と「ミッション」。「ビジョン」はNPOが実現したい未来の社会や団体が理想とする社会をイメージさせる文章である一方、「ミッション」は、そのNPOがビジョンに向かって日々何をするか、何のために存在しているかを表現するものです。ミッションは「使命」「社会的使命」と訳されます。たとえて言えば、ビジョンは目的地であり、ミッションは目的地までの地図となります。今回はミッションについて考えたいと思います。
ミッションの機能
意思決定
NPOにとってミッションは、新しいプロジェクトや広報活動、ファンドレイジング、人材採用などの判断基準として機能します。マネジメントやリーダーシップの一貫性に貢献します。
組織文化
NPOにとってミッションは、NPOの組織文化の基礎になります。寄付者、ボランティア、理事、スタッフなど、それぞれ違った形であってもNPOに参加するのは、ミッションに対する熱意を共有できているからです。
危機的状況からの回復
ミッションにはNPOにとって譲れないことが明記されているので、社会が変化したとしても活動の軸がぶれることが少なくなります。軸がぶれない一貫性のある活動を継続することで信頼性も高まり、危機的状況からの回復も早くなります。
強力なミッションの特徴
シンプルであること
どのようなNPOでも、1～2文でミッションをつくることができます。立食パーティーで誰かに伝えるとき、記憶と印象に残る簡潔な文章です。
明確であること
ミッションは、説明しすぎることなく明確に伝えるものです。専門用語や流行語を使わず、外部の人が理解できる言葉で端的に表現する必要があります。
直接的であること
ミッションには、誰の、何を変える活動をしているか、具体的・直接的な記載があります。少なくともNPOが支援する人々や動物といった受益者が含まれます。
現実的であること
強力なミッションは行動志向になっています。行動というのは動詞で表現されています。強力なミッションには、「根絶する」「加速する」「改善する」「強化する」「擁護する」「育成する」「前進させる」など動詞が使われています。
ミッションをテストする方法
ミッションが強力なものかどうかは「Tシャツテスト」でテストすることができます。あなたのミッションはTシャツにプリントすることができますか？そのTシャツを街で着ることはできますか？Tシャツにプリントされたミッションをすれ違う瞬間に読むことはできますか？そして、意味まで伝わりますか？もし、これらの質問の答えに自信がなければ、ミッションの文章を見直す必要があります。
ミッションはキャッチフレーズではありません。ミッションは、共通の理解を提供し、団体の独自性を明確にする、NPOの心臓部や魂と言えるものです。だからこそ、意図的にミッションを作成することが重要なのです。
