アウトカムを理解する

アウトカムを理解する

NPOでは、アウトプット、アウトカム、インパクトという言葉がよく使われます。ただ、アウトプット、アウトカム、インパクトは混同しやすい概念となっています。アウトプット、アウトカム、インパクトの3つにインプットも加えて、言葉の意味を整理してみたいと思います。

インプット(投入)

インプットとは、資金、職員、施設・設備、資材など活動に投入される資源を指します。インプットは活動の基盤であり、計画されたアウトプットに直接的に影響を与えるため重要になります。資金的なものだけでなく、ボランティアの活動時間や外部コンサルタントや協力組織などの専門知識などもインプットとして考えます。

アウトプット(結果)

アウトプットは、どれだけのことが行われたか、つまり活動の量を示します。アウトプットは、利用者数、参加者数、開催回数、提供数/配布数など測定可能で数値化できます。アウトプットはNPOが生み出すサービスを対象とするので、進捗を確認することや活動を改善する点を特定することに役立ちます。一方で、受益者にとっての活動の価値や意味は含まれていません。

事例

子どもたちに提供された学習会の数
奨学金の受給者数
保護者向けワークショップの開催数
職業訓練プログラムの実施数
職業訓練プログラムに参加した若者の人数
食料を配布した世帯数
など

アウトカム(成果)

アウトカムとは、アウトプットの結果として生じる直接的で短期的な利益や変化です。たとえば、受益者や地域の技能、知識、態度、行動、状態、地位、認識、信念などの変化(増減)です。アウトカムは受益者にとって活動の価値や意味がある指標で、受益者が主語になる指標です。定量的に測ることもあれば、定性的な測定もあります。前もってアウトカムは「何によって測ることができるのか」という質問を問いかけ、答えておくことで、現実的なアウトカムを明確に考えることができます。

事例

学力や進学率の向上
子どもの学習意欲と出席率の向上
起業の実現件数
子育ての知識向上
就職率の向上
世帯の健康状況の改善
など

インパクト(影響)

インパクトとは、活動による長期的なアウトカムや間接的なアウトカムです。長期的・間接的なアウトカムですので、自分たちの活動のみによる変化とは限りません。そのため、インパクトは「全体の変化」から「社会の状況が変わって起きた変化」を除外した「活動による純粋な変化」を指すこともあります。インパクトは意図する・しないに関わらず、ポジティブな変化とネガティブな変化の両方があります。

事例

子どもの自己肯定感の向上
貧困率の減少
経済成長率の向上
児童虐待・育児放棄の減少
所得水準の向上
など

アウトカムを把握するにはアンケートや個別インタビュー、観察などの経費や人手といったコストが必要になるため、アウトプットを把握することにとどまっているNPOが多いと思います。アウトプットがあることでアウトカムが生まれますので、アウトプットの把握も引き続き重要です。しかし、大口寄付者や助成財団など資金提供者がNPOに期待することはアウトカムといった変化です。アウトカムを意識した情報発信に取り組んでみてください。