プレスリリース 基本の「き」

広告予算がない(少ない)NPOやNGOにとって、自分たちが持つウェブサイトやソーシャルディアのアカウントと並び、新聞や雑誌に掲載してもらうことも重要な広報手段になります。待っていても新聞や雑誌の取材は来てくれません。自分たちから報道してもらいたい情報を媒体社に提供をする必要があります。その情報提供の方法がプレスリリースです。プレスリリースの基本の「き」となる手順を確認しておきたいと思います。

あつめる

まずは情報提供するネタを組織内であつめる必要があります。事務局内で行われる会議には極力出席して、どのような活動があるのか情報収集をしてください。会議への出席が難しい場合は、他部門の担当者に「御用聞き」してください。理事会や会員総会の議事録も大切な情報源になります。NPOやNGOでプレスリリースになるネタは以下のようなものが考えられます。

・講座やセミナーなどの主催イベント
・クラウドファンディングなどの寄付キャンペーン
・ボランティアの募集
・新商品や新事業、新しい活動地
・周年事業

これらに加えて、企業(特に上場企業)では、人事異動(代表や事務局長、理事の交代)、決算などもプレスリリースしています。大学の教授、会社の社長など社会的に地位のある人が役員になる場合は、メディアに情報提供するネタしてもよいかもしれません。

つくる

プレスリリースをつくります。原則、A4一枚でコンパクトにまとめるようにしてください。ヘッダー、タイトル、本文、フッター(問い合わせ先)が必須項目になります。

ヘッダーには、発信者名(ロゴ)、発信日を入れます。情報には鮮度がありますので、いつの情報なのか分かるように発信日は必ず入れましょう。ヘッダー内に「プレスリリース」もしくは「報道機関各位」と明記することで、報道機関(メディア)向けの資料であることを伝えます。

タイトルや本文では「事実」を書きます。プレスリリースは市民向けのちらしではありませんので、「~しませんか?」といった呼びかけは向いていません。また、専門用語(業界用語)をなるべく使わないように書いてください。ワークショップやフェアトレード、開発教育などNPO/NGO業界では一般的なことばこそ注意が必要です。キャンペーンやイベントは少なくとも以下の情報が必要です。

【キャンペーンの場合】
キャンペーン名称、キャンペーン内容、キャンペーン目的、キャンペーン期間、キャンペーンへの参加方法(寄付の方法)、問い合わせ先

【イベントの場合】
イベント名称、イベント内容、日時、会場、講師、講演内容、定員、参加費、申込方法、問い合わせ先、主催・共催団体

プレスリリースを読んだ記者に何をしてほしいのか、次のアクションをイメージして書くことが重要です。イベントを案内記事にしてほしいのか、イベント当日に取材に来てほしいのか、によって書き方が変わってきます。イベント当日の取材を目的にするのであれば、どのような講師にどのような話が聞けるのか、どのような写真がとれるのか、を書いておいたほうが記者は参加のイメージがしやすくなりますし、プレスリリースとは別に返信用の申込用紙を添付する工夫もできるようになります。

フッターにはプレスリリースの問い合わせ先を載せます。本文に書いてあっても必ずフッターは必要です。団体の正式名称、連絡先(電話・FAX・E-mail)、ウェブサイト、広報担当者名、担当者の携帯電話番号などを載せておくとよいでしょう。また、本文に書く場合もありますが、50文字から100文字程度の団体紹介があると親切です。

おくる

FAXかE-mailで報道機関に送ります。最初はあまり対象を広げすぎずに新聞社から始めることをお勧めします。全国紙の地域面を見ると情報提供先のFAX番号やE-mailアドレスが掲載されていることがあります。また、地方紙も同様に社会面か地域面に掲載されています。掲載されていなければ、地域の支社・総局・支局に電話して、「プレスリリースをFAXで送りたいので、FAX番号を教えてください」と聞けば、たいていの新聞社は教えてくれます。支社・総局・支局の電話番号はウェブサイトに掲載されています。

獲得したFAXやE-mailアドレスは、新聞社名や部署名、担当者(記者)名と合わせてエクセルなどで一覧にして管理します。全国紙の地域面、ブロック紙・地方紙の本社の社会部や地域面からはじめ、専門紙やフリーペーパー、コミュニティー紙、テレビ局など順次追加し、一覧表を育ててください。

最初は一度の配信件数(メディアの数)も少なく手作業でFAX送信ができると思います。一覧が充実してきたら、有料サービスを使うことも検討してください。「FAX DM」などと検索すると出てきます。差し込み配信ができるなど便利です。

多くの企業・団体がプレスリリースを配信しています。以下にプレスリリースを配信している企業をピックアップしました。NPOやNGOにも参考になるような企業を選びました。タイトルや本文の表現やレイアウトなど、真似てつくることが上達の近道だと思います。

赤城乳業株式会社

株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)

株式会社湖池屋

株式会社タニタ

株式会社はとバス

ハウス食品株式会社

丸徳海苔株式会社

森下仁丹株式会社

株式会社ヤッホーブルーイング

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