寄付やボランティアなどの支援者を増やすためには、NPOが取り組む社会的課題についての関心層を増やすことが不可欠です。社会的課題を伝える方法を3つご紹介したいと思います。
●●が100人の村だったら
2001年ころに広まった「世界が100人の村だったら」という物語。これにはたべもの編、子ども編、日本編などのバージョンもあります。みなさんの活動地や社会的問題をテーマにして、「100人の村」の物語が作れないか、検討してみてください。「ウガンダが100人の村だったら」「東北地方が100人の村だったら」「中学生や高校生が100人の村だったら」「日本のNGOが100人の村だったら」など、アイデア次第でいろいろ展開ができそうです。誤解を招かないように、根拠となった数値の出所は明記する必要があります。私は「バングラデシュが100人の村だったら」を作ろうとして、統計データ集めに非常に苦労しました。途上国だと難しいこともあるかもしれませんが、政府が出している統計や国連機関が出している統計を探してみてください。
ホワイトペーパー(白書)
ホワイトペーパー、つまり白書です。社会的課題の全体像や傾向を示す文書です。NPOが独自のアンケート調査やインタビュー調査を実施・分析した上で、発行することが多いようです。「寄付白書」(日本ファンドレイジング協会)、「サンタ白書」(チャリティーサンタ)、「若年無業者白書」(育て上げネット)などがあります。大規模な調査をしようとすれば、それなりのコストが必要ですし、分析には手間と時間がかかります。それでも行う価値があります。白書の発行だけでなく、白書の内容をプレスリリース(「調査リリース」と呼ばれています)することで、メディアへのアプローチの幅が広がります。
インフォグラフィックス
インフォグラフィックス(infographics)とは、視覚的に情報やデータを表現する方法です。社会的課題の統計データが手に入るようであれば、ぜひ取り入れたい方法です。ウェブサイトだけでなく、ニュースレターやイベントでのパネル展示など幅広く使えそうです。ひとつめの事例は、ホワイトペーパーでもご紹介した「寄付白書」(2015年版)には白書の内容を要約したインフォグラフィックスのページがあります。
ウェブサイトでご覧いただけます。
もうひとつは、シェア=国際保健協力市民の会の事例です。「知って伝える、インフォグラフィックス」というコンテンツを設けています。東ティモールの子どもたちを知る5項目や在日外国人の健康格差など、シェアが取り組んでいる課題をインフォグラフィックスで伝えています。
「世界が100人の村だったら」はメールで拡散しました。いまはソーシャルメディアの時代。ソーシャルメディアでは、テキストだけでなくビジュアルが拡散します。データを直感的に理解できて、見ていて楽しいインフォグラフィックスは、ソーシャルメディアで拡散しやすいコンテンツです。