あけましておめでとうございます。
2017年も「ファンドレイジングのレシピ」をよろしくお願いします。
新年ということもありまして、2017年のNPOやNGOの広報のトレンドについて考えてみたいと思います。
2016年には英国のEU離脱や米国の大統領選ではまさかと思うような出来事がありました。この背景にあったのは、オックスフォード英語辞典の「今年のことば」(Word of the year)にも選ばれた「post-truth」だと言われています。post-truth(ポスト・トゥルース)は、「世論形成において、客観的事実が感情や個人の信念へのアピールよりも影響力を持たない状況」を意味しています。つまり、世論を形成するには、事実よりも感情や信念の影響度が増しているということです。
海外だけでなく、日本国内でも大手キュレーションメディアが事実に欠けるいい加減な記事の掲載によって封鎖に追い込まれたり、「群馬県太田市職員がゲームの世界大会で優勝した」「心臓病を患いアメリカで移植手術を受けるための募金集め」という客観的事実のないニュースが全国紙や地方紙に掲載されたりと、マスメディアまで簡単に嘘を信じてしまうpost-truthな社会になってきています。
そんな社会的動向の中で、2017年のNPO/NGOの広報は以下の2つがトレンドになるのではないかと私は考えています。
正確で信頼できる情報源としてのNPO/NGO
post-truthな社会では、世論を形成するには客観的事実が不要だということを言いたいのではありません。むしろ、これまで以上に客観的事実の重要性が増すのではないかというのが私の考えです。国内外に現場を持つNPO/NGOだからこそ得られる正確で信頼できる事実を発信していくことが、ますます重要になってくると思います。
ファンドレイジングのため、ボランティア募集のためといった短期的な広報だけでなく、社会問題の事実を発信し続け、人々の意識や行動を変えるため、社会変革のためといった長期的な広報を改めて考えて、広報に取り組む姿勢を見つめなおすことも大切になります。
感情を創り出す体験型の広報
世論形成において感情の影響度が高まっているのは、ソーシャルメディアとは無関係ではありません。誰もがソーシャルメディアを通じて感情を発信することができるようになりました。その結果、感情の影響度が高まったと考えることができます。
ソーシャルメディアで話題となるものはソーシャルメディアだけで完結するものは少なく、リアルな出来事やイベントが多いのです。「おもしろい」「たのしい」「すごい」「なつかしい」「むかつく」「やるせない」「かなしい」など感情を呼び起こすリアルな体験型イベントに注目が集まるのではないかと思います。スタディツアーやワークキャンプ、ボランティア体験がその例ですが、国内外の支援現場でやっていることを支援者向けに「模擬●●」や「疑似●●」として取り組むことも含まれます。
トレンドを創り出すことができるのも広報の面白さです。
ぜひ皆さんもそれぞれの団体で「2017年はこうなる」といったトレンド予想を
考えてみてはどうでしょうか。