支援者から管理費の理解を得るためにNPOができること

支援者から管理費の理解を得るためにNPOができること

NPOは、理念を実現するために活動しています。そのため、支援者からは寄付や助成金といった財政的な支援を理念を実現するための事業費(直接費)に使うことが期待されています。一方で、組織を維持するためには管理費が必要です。管理費は「悪いもの」という思い込み、誤った認識を持っている支援者もいます。NPOはどうやって支援者から管理費について理解を求めることができるでしょうか?考えてみたいと思います。

管理費とは

管理費は、NPOが目的とする事業を行うために直接要する経費(事業費)以外の経費のことです。管理費は間接費とも言われ、事務所家賃や水道光熱費、情報技術の導入といった組織運営のための経費、会報制作やウェブサイト運営などの広報や報告に関わる経費、会費や寄付の獲得といったファンドレイジングに関わる経費、経理・労務・監査に関わる経費が含まれます。

ファンドレイジングを続けるために必要なコスト(経費)

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2021.05.12

支援者から管理費の理解を得るためにNPOができること

支援者から管理費に関する理解を得るためにNPOができることは、以下の3つがあると考えています。

「使う」という言葉を使わない

管理費について説明するときに「使う」「掛かる」という言葉を用いることはやめましょう。NPOは管理費にお金を「使っている」「掛かっている」のではなく、お金を「投資している」のです。広報経費は団体理念を広げるための投資であり、ファンドレイジング経費は活動拡大や社会変革を加速させるための投資です。職員に投資することで、職員の満足度が高まり、さらに多くの職員やボランティアを惹きつけることになります。

管理費の透明性を高める

管理費としてどのような項目にどれだけお金を必要としたか、支援者に対して透明性を保ち、説明することで理解促進につながります。NPOを効果的かつ成長的に運営するための現実やなぜ管理費がそのような金額になっているのかを正直に公表することで、NPOにとっての管理費は重要な役割を果たしていることを知ってもらう機会になります。

事業の成果やインパクトを伝える

財務的な透明性だけでなく、事業の成果やインパクトの透明性を保つことも支援者に管理費を理解してもらうために重要な視点となります。NPOによる事業の成果やインパクトについて強いメッセージを発信することで、管理費の必要性や妥当性への理解を高めることができます。商品を購入するとき、その価格のうち材料費や物流費など内訳を気にして商品を購入しません。価格内訳よりも重要なのは、その商品がどのように自分の生活をより良くするのかといった価値です。NPOの事業について、できる限り多くのことを、できる限り頻繁に発信しましょう。

アウトカムを理解する

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2024.08.07

管理費の支出を大幅に制限したり、管理費が存在しないかのように装うことでは、いつまでたっても支援者に管理費について理解されません。管理費は、NPOにとっての「組織基盤を強化するための経費」とも言えると思います。管理費(組織基盤強化費)への投資は、事業を強化し、成果やインパクトを拡大するために必要だと理解してもらうことは一朝一夕には実現しません。NPOは支援者に、管理費は事業の成果やインパクトのための重要で必要な経費であることを辛抱強く丁寧に、ときにはNPO同士連携して、説明し続ける必要があると考えています。