多くのNPOは企業からの支援を期待しています。企業からの支援には、告知の協力、ボランティア参加、施設利用、寄付、法人会員など様々な手段があります。なかでも、難易度の高いのが、商品の開発や販売などを通じた社会的課題の解決、本業による協働です。企業との協働を失敗しないための配慮をまとめてみました。
1.ルールを押し付けない
NPOのルールを企業に押し付けても協働はうまくいきません。その逆も同じです。お互いのルールを尊重して協働をすすめることが重要です。また、新しいルールをつくる工夫も必要です。
2.共感を求めない
NPOは企業に対し「共感」を求めすぎています。共感は重要な視点ではありますが、協働においては「理解」で十分です。団体の理念(ビジョンとミッション)や活動内容について、時間をかけて説明し、社会にとって必要であるという理解を得られるように努力しましょう。
3.担当者を頻繁に代えない
NPOは人材の流動性が高い業界のひとつです。一方、企業の担当者はジョブ・ローテーション(配置転換)により担当者が3~5年で代わります。担当者が頻繁に交代していると連携に関するノウハウが蓄積されません。
4.規模にこだわらない
はじめから大企業との連携や大きな予算が必要な協働を目指すと失敗する可能性が高くなります。財務規模や活動範囲、連携に関する熟練度など段階に応じた協働を考えましょう。小さくはじめて、大きく育てるという発想が大切です。
5.軋轢や摩擦を恐れない
はじめてからすべて計画通りに進む連携は極めてまれです。軋轢や摩擦を恐れずに、乗り越える覚悟を持って連携に臨みましょう。ときには立ち止まる、引き返すといった計画の見直しも必要です。
6.教訓を残す
同じ失敗を繰り返さないために、教訓や学びを残し、団体内や連携先と共有することがなによりも重要です。他セクターとの協働は試行錯誤の連続であり、時代とともに正解は変わってきます。
7.目先の実利を期待しすぎない
企業が協働する目的は「新規顧客の獲得」「新しい市場の開拓」「新商品の開発」といった実利です。一方、NPOも「財源の獲得」「新規支援者の確保」「信頼の向上」といった実利を期待します。ただし、目先の利益ばかり考えて協働すると本来の協働する目的を見失います。
本業による協働では、NPOを良く知っている社会貢献担当者やCSR担当者が窓口になるとは限りません。営業・開発・マーケティング担当者などNPOに理解が少ない会社員ともコミュニケーションをとっていく必要があります。そのためには、様々な配慮が必要になってきます。