日本国内の課題に取り組むNPOにとってのSDGs

国際協力や環境分野のNGOであればご存じの方も多い「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)、通称SDGs(エス・ディー・ジー・ズ)。最近の仕事で関わることもでてきたので、私の学びを整理しておきたいと思います。特に、国内の問題に取り組むNPOの皆さんの視点も意識しながらまとめてみたいと思います。

SDGsは17のゴール(目標)と169のターゲット(小目標/達成基準)による開発の目標です。「Development」を「開発」と訳してしまっているので、途上国をイメージされる方が多いかもしれません。多くの日本国内の課題に取り組むNPOにとっては「遠い存在」になってしまっているのが現状だと思います。しかし、SDGsは途上国だけではなく、日本を含む先進国にも当てはまる課題も含まれています。こうした意味では、「開発」ではなく、むしろ「発展」「発達」と訳したほうが適切なのかもしれません。達成目標年は2030年です。2030年までに17の目標と169のターゲットを達成しよう(一部のターゲットは2020年や2025年になっています)ということです。

17の目標だけではなく、169のターゲットを眺めることで日本とのかかわりもわかりやすくなると思います。私の独断と偏見で、日本国内の問題にもかかわりのありそうなターゲットをいくつかご紹介します。これ以外にもどのような目標とターゲットがあるのか、気になったらぜひご自身で調べてみてください。

国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 持続可能な開発目標(SDGs)

 

目標1.あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。

1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。

 

目標3.あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

3.4 2030年までに、非感染症疾患(NCD)による早期死亡を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進する。
※非感染症疾患(NCD)というのは、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患のこと。

3.5 麻薬乱用やアルコールの有害な摂取を含む、薬物乱用の防止・治療を強化する。

3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。

 

目標4.すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

4.1 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ有効な学習成果をもたらす、自由かつ公平で質の高い初等教育および中等教育を修了できるようにする。

4.7 2030年までに.持続可能な開発と持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力の文化、グローバル市民、および文化的多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通じて、すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するようにする。

 

目標5.ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女子に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。

 

目標7.すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。

 

目標11.都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、および高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

11.5 2030年までに、貧困層および脆弱な立場にある人々の保護に重点を置き、水害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

 

目標12.持続可能な消費と生産のパターンを確保する

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。

12.8 2030年までに、あらゆる場所の人々が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

 

目標16.持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力および暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。

16.2 子どもに対する虐待、搾取、人身売買およびあらゆる形態の暴力および拷問を撲滅する。

 

目標17.持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

 

SDGsを「理解する」から「活用する」段階へ

これまではSDGsを「知る」「理解する」段階にあったと思います。これからはSDGsを「使う」「活用する」段階に入っていくのではないかと思っています。SDGsは企業や行政からも注目されています。たとえば、伊藤園はCSRにSDGsの考え方を導入しています(伊藤園CSRウェブサイト)。また、内閣にはSDGs推進本部が設置され、推進が図られています(持続可能な開発目標(SDGs)推進本部ウェブサイト)。いずれ地方行政にもその影響が及んでくると思います。企業や行政との共通言語として活用できると思います。

SDGsは「社会的課題の一覧」という側面もあります。自団体が取り組んでいる課題の位置づけを確認し、多面的にとらえるための道具にもなります。たとえば、子どもに関するターゲットが含まれる目標は以下の通り多岐にわたっています。

  • 目標 1.あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
  • 目標 2.飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
  • 目標 3.あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
  • 目標 4.すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  • 目標 5.ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
  • 目標 6.すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
  • 目標 8.すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
  • 目標 11.都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
  • 目標 16.持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

 

日本国内の課題に取り組むNPOがSDGsを活用することで、これまで出会えなかった支援者と出会える可能性もあります。SDGsに関心のある人はどちらかというと海外での課題に関心が高い人が多いと思います。SDGsを使ってコミュニケーションをすることで、海外にしか関心のなかった人々に対しても、国内の課題を伝えることができるようになると思います。

日本国内の課題に取り組むNPOの皆さんも、私にはSDGsは関係ないと思わずに、SDGsの活用を検討してみてはいかがでしょうか。